臨床成績(国内第3相臨床試験)
ソバルディはリバビリンとの併用により、ジェノタイプ2のC型慢性肝炎又は
代償性肝硬変の患者に対して、高い著効率(SVR12率)を示しました。
本剤の「警告・禁忌を含む使用上の注意」等については注意事項等情報(添付文書)をご参照ください。
試験概要
目的 | ジェノタイプ2の日本人C型慢性肝炎患者におけるソバルディとリバビリン12週投与の有効性及び安全性を検討する。 |
対象 | 未治療又は前治療のあるジェノタイプ2のC型慢性肝炎患者140例(C型代償性肝硬変患者15例を含む) |
試験方法 | 多施設共同非盲検非対照試験 |
主要評価項目 | SVR12率†[投与終了から12週間後のHCV RNA量が定量下限値(25 IU/mL)未満を達成した患者の割合*]、安全性 |
副次評価項目 | SVR4率及びSVR24率、薬剤耐性、血中HCV RNA動態、ウイルス陰性化率、ALT値の推移、背景因子別のサブグループ解析等 |
解析計画 | 主要評価項目はFull Analysis Set(FAS)を基にしたreanalysis population(再解析集団)にて解析を実施することとした。背景因子別のサブグループ解析は、年齢(65歳以上/未満)、性別(男性/女性)、代償性肝硬変(なし/あり)、前治療への反応(無効/再燃/ブレイクスルー/インターフェロン不耐容)、インターフェロン適格性(インターフェロン適格/インターフェロン不適格/インターフェロン望まず)、ベースラインのHCV RNA量(800,000 IU/mL以上/未満、5 log10IU/mL以上/未満)、ベースラインのBMI(25kg/m2以上/未満)、ベースラインのALT値(正常範囲上限の1.5倍超/以下)、IL28B(CC/non-CC)、試験薬のアドヒアランス(80%以上/未満)等について、副次評価項目として実施することとした。 |

† 未治療の非肝硬変被験者でのSVR12率を、両側直接確率1標本二項検定を用いて、補正したヒストリカルコントロールのSVR率と比較した。
* COBAS®TaqMan®HCV Test v2.0においてHCV RNA量が定量下限値(25 IU/mL)未満の患者の割合。
社内資料:承認時評価資料:国内第3相臨床試験(GS-US-334-0118)
患者背景
全体 (n=140) |
未治療患者 (n=83) |
前治療のある 患者 (n=57) |
|
---|---|---|---|
年齢中央値(範囲) | 59歳 (34~74) |
57歳 (34~73) |
61歳 (34~74) |
≧65歳 | 32例 (22.9%) |
14例 (16.9%) |
18例 (31.6%) |
男性 | 61例 (43.6%) |
27例 (32.5%) |
34例 (59.6%) |
BMI(平均±標準偏差) | 23.9±3.37 kg/m2 |
23.9±3.37 kg/m2 |
24.0±3.39 kg/m2 |
IL28B CC遺伝子型※1 | 112例 (80.0%) |
69例 (83.1%) |
43例 (75.4%) |
HCV RNA量 (平均±標準偏差) (範囲) |
6.3±0.84 log10 IU/mL (3.6〜7.4) |
6.1±0.91 log10 IU/mL (3.6〜7.4) |
6.5±0.67 log10 IU/mL (4.8〜7.4) |
HCV RNA≧5 log10 IU/mL | 127例 (90.7%) |
71例 (85.5%) |
56例 (98.2%) |
ALT値中央値 (Q1※2〜Q3※3) |
34 U/L (24〜66) |
31 U/L (23〜73) |
36 U/L (26〜62) |
代償性肝硬変 | 15例 (10.7%) |
8例 (9.6%) |
7例 (12.3%) |
インターフェロン適格 | - | 71例 (85.5%) |
- |
インターフェロン不適格 | - | 5例 (6.0%) |
- |
インターフェロン望まず | - | 7例 (8.4%) |
- |
前治療無効 | - | - | 13例 (22.8%) |
前治療再燃/ブレイクスルー | - | - | 41例 (71.9%) |
インターフェロン不耐容 | - | - | 3例 (5.3%) |
- IL28B領域の一塩基多型(SNPs)の解析にあたり、本試験においては、rs12979860の解析によりSNPsのメジャーアリル(CC)もしくはマイナーアリル(CT、TT)を同定している。
- 25パーセンタイル
- 75パーセンタイル
主要評価項目:SVR12率
ソバルディ錠400mgを1日1回、リバビリン600~1,000mgを1日2回、12週間にわたり併用経口投与した結果、主要評価項目である投与終了12週間後の持続陰性化率(SVR12率)は、全体で96.4%、未治療例で97.6%、既治療例で94.7%でした。
サブグループ解析:背景因子別SVR12率
背景因子別SVR12率は以下の通りです。
(1)年齢
(2)性別
(3)前治療のある患者における背景因子別
(4)代償性肝硬変の有無別
副次評価項目:HCV RNA量のベースラインからの変化量の推移及びウイルス陰性化率
ソバルディとリバビリンの併用投与は、血中HCV RNA量を速やかに低下させ、投与4週までに全例でウイルスを陰性化させました。
HCV RNA量のベースラインからの変化量の推移及びウイルス陰性化率
投与終了時(12週)におけるHCV RNA量のベースラインからの変化量(平均値±標準偏差)は、未治療患者で-4.74±0.913 log10IU/mL、前治療のある患者で-5.13±0.672 log10IU/mLでした。
投与4週までに140例全例のHCV RNA量が定量下限値未満となり、投与終了時(12週)までその状態を維持しました。
ウイルス陰性化率※
1週 | 2週 | 3週 | 4週 | 12週 | |
---|---|---|---|---|---|
未治療患者 (n=83) |
50.6% (42/83) |
98.8% (82/83) |
100% (83/83) |
100% (83/83) |
100% (83/83) |
前治療のある患者 (n=57) |
36.8% (21/57) |
94.7% (54/57) |
100% (57/57) |
100% (57/57) |
100% (57/57) |
全体 (n=140) |
45.0% (63/140) |
97.1% (136/140) |
100 (140/140) |
100 (140/140) |
100 (140/140) |
※HCV RNA量が定量下限値未満
副次評価項目:ウイルス学的転帰
投与中のウイルス学的治療不成功は認められず、再燃は3.6%(5/140例)に認められました。
ウイルス学的転帰※
未治療患者 (n=83) |
前治療のある患者 (n=57) |
全体 (n=140) |
|
---|---|---|---|
ウイルス学的治療不成功例の合計 | 2/83(2.4%) | 3/57(5.3%) | 5/140(3.6%) |
投与中のウイルス学的治療不成功※1 | 0 | 0 | 0 |
再燃※2 | 2/83(2.4%) | 3/57(5.3%) | 5/140(3.6%) |
- 投与中のウイルス学的治療不成功:ブレイクスルー〔HCV RNA量が定量下限値(25 IU/mL)未満になった後に投与期間中に定量下限値以上となった場合〕、リバウンド(HCV RNA量が最低値から1 log10IU/mL超の増加を示した場合)もしくはノンレスポンダー(HCV RNA量が8週間の投与期間を通じて持続的に定量下限値以上を示した場合)
- 再燃:投与終了時にHCV RNA量の定量下限値未満を達成したが、投与終了後にHCV RNA量が定量下限値以上となった場合
副次評価項目:薬剤耐性
再燃例(5/140例)のベースライン及び再燃時点のHCV RNA試料を用いてNS5B領域のディープシークエンス解析を行った結果、ソホスブビルに関連する耐性変異であるNS5B S282T変異及びその他の核酸型NS5B阻害剤耐性に関連する変異は検出されませんでした。また、薬剤感受性検査から、ソホスブビル又はリバビリンに対する感受性の変化を伴う耐性株の出現はみられませんでした。
安全性
(1)有害事象
15.0%(21/140例)に薬剤の用量変更又は一時中止に至った有害事象が発現しました。このうち1例は、鼻咽頭炎発現により1日間本剤の投与を休薬しました。その他は全てリバビリンの用量変更又は休薬で、最も多く報告された治験薬の用量変更又は休薬に至った有害事象は貧血又はヘモグロビン減少(19/140例、13.6%)でした。
国内第3相臨床試験における有害事象の発現状況
全体 (n=140) |
|
---|---|
有害事象 | 105(75.0%) |
重篤な有害事象 | 2(1.4%) |
死亡 | 0 |
投与中止に至った有害事象 | 0 |
薬剤の用量変更又は一時中止に至った有害事象 | 21(15.0%) |
本剤の一時休薬に至った有害事象 | 1(0.7%) |
(2)副作用
国内第3相臨床試験において、140例中61例(43.6%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められました。主な副作用は貧血又はヘモグロビン減少21例(15.0%)、頭痛7例(5.0%)、倦怠感6例(4.3%)、悪心6例(4.3%)、そう痒症6例(4.3%)等でした。(承認時)15.0%(21/140 例)に薬剤の用量変更又は一時中止に至った有害事象が発現しました。このうち1例(0.7%)は、鼻咽頭炎発現により1日間本剤の投与を休薬しました。その他は全てリバビリンの用量変更又は休薬で、最も多く報告された治験薬の用量変更又は休薬に至った有害事象は貧血又はヘモグロビン減少(19/140 例、13.6%)でした。重篤な有害事象は2例に認められました。このうち1例(0.7%)は節足動物刺傷アレルギー、1例(0.7%)は貧血でした。死亡例は認められませんでした。
なお、重大な副作用として貧血(11.4%)、高血圧(1.4%)、脳血管障害(頻度不明)※が報告されています。
- 発現頻度は、国内臨床試験成績に基づき算出した。自発報告又は海外の臨床試験において報告された副作用は頻度不明とした。
国内第3相臨床試験における副作用発現状況
安全性評価対象例数 | 140例 |
---|---|
副作用発現症例数 | 61例 |
副作用発現症例率 | 43.6% |
副作用名 | 副作用発現例数(%) |
---|---|
血液およびリンパ系障害 | 16(11.4%) |
貧血 | 16(11.4%) |
耳および迷路障害 | 1(0.7%) |
回転性めまい | 1(0.7%) |
胃腸障害 | 21(15.0%) |
悪心 | 6(4.3%) |
便秘 | 4(2.9%) |
口内炎 | 4(2.9%) |
腹部不快感 | 3(2.1%) |
口唇炎 | 2(1.4%) |
下痢 | 2(1.4%) |
上腹部痛 | 1(0.7%) |
歯肉痛 | 1(0.7%) |
嘔吐 | 1(0.7%) |
一般・全身障害および 投与部位の状態 |
12(8.6%) |
倦怠感 | 6(4.3%) |
疲労 | 3(2.1%) |
冷感 | 1(0.7%) |
易刺激性 | 1(0.7%) |
発熱 | 1(0.7%) |
肝胆道系障害 | 4(2.9%) |
高ビリルビン血症 | 4(2.9%) |
感染症および寄生虫症 | 3(2.1%) |
鼻咽頭炎 | 2(1.4%) |
咽頭炎 | 1(0.7%) |
臨床検査 | 6(4.3%) |
ヘモグロビン減少 | 5(3.6%) |
尿量増加 | 1(0.7%) |
副作用名 | 副作用発現例数(%) |
---|---|
代謝および栄養障害 | 1(0.7%) |
食欲減退 | 1(0.7%) |
筋骨格系および結合組織障害 | 4(2.9%) |
筋肉痛 | 3(2.1%) |
関節痛 | 1(0.7%) |
神経系障害 | 12(8.6%) |
頭痛 | 7(5.0%) |
傾眠 | 3(2.1%) |
浮動性めまい | 2(1.4%) |
味覚異常 | 1(0.7%) |
精神障害 | 4(2.9%) |
抑うつ気分 | 2(1.4%) |
腎および尿路障害 | 1(0.7%) |
着色尿 | 1(0.7%) |
呼吸器、胸郭および縦隔障害 | 1(0.7%) |
口腔咽頭痛 | 1(0.7%) |
皮膚および皮下組織障害 | 14(10.0%) |
そう痒症 | 6(4.3%) |
発疹 | 3(2.1%) |
脱毛症 | 2(1.4%) |
皮脂欠乏症 | 1(0.7%) |
皮膚炎 | 1(0.7%) |
接触性皮膚炎 | 1(0.7%) |
全身性そう痒症 | 1(0.7%) |
血管障害 | 2(1.4%) |
高血圧 | 2(1.4%) |
MedDRA/J version 16.1で集計
承認時社内集計