B型肝炎による肝癌撲滅に向けて −リスク評価と適切な治療選択−
- 日時
- 2026年1月24日(土)14:10~15:00
- 座長
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北海道大学大学院医学研究院 内科学分野 消化器内科学教室 教授
坂本 直哉 先生
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北海道大学大学院医学研究院 内科学分野 消化器内科学教室 教授
- 演者
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東北大学 高度教養教育・学生支援機構 保健管理センター 准教授 東北大学病院 消化器内科 兼任
井上 淳 先生
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東北大学 高度教養教育・学生支援機構 保健管理センター 准教授 東北大学病院 消化器内科 兼任
- 講演内容
- B型肝炎ウイルス(HBV)は、世界で約2億人、日本でも約100万人が持続感染していると推定される。新規感染は大幅に減少した一方、既感染者の高齢化とともに肝細胞癌(HCC)の発症リスクを抱えた患者が今も多数存在している。
HBV関連肝癌のリスクは、ウイルス側要因と宿主側要因の双方に規定される。血中HBV DNA量は重要なリスク因子であり、ウイルス量が高いほど肝発癌リスクが上昇することが知られていたが、近年ではHBV DNAが中等量であると発癌リスクが最も高くなるという報告もある。また、HBVの変異やジェノタイプもリスクに影響する。宿主側の因子としては、年齢、性別、肝線維化の程度、飲酒や脂肪肝などの代謝因子が関与する。したがって、このような因子を加味したリスク層別化が、HCC早期発見・予防の鍵となる。
治療の第一目標は、ウイルスの持続的抑制による肝炎鎮静化と肝発癌の抑止である。現在の主流となっている核酸アナログ製剤により長期的なウイルス抑制が可能となっているが、ウイルス排除が困難であることが課題として残る。現在、ウイルス複製抑制と免疫応答回復の双方を目指した新規治療薬の開発が進んでおり、HBs抗原消失(functional cure)を実現する治療戦略が期待されている。
B型肝炎による肝癌撲滅のためには、「誰を、いつ治療すべきか」を臨床的に判断することが重要である。ALTとHBV DNAに加え、肝線維化マーカー、HBコア関連抗原、家族歴、代謝因子などを組み合わせて総合的なリスク評価を行い、適切な時期に抗ウイルス療法を開始することで、肝がんの発症率を低減できる。また、治療中であっても完全な発癌抑止は難しいため、リスクに応じたHCCのサーベイランスを継続することが不可欠である。
今後の目標は、感染の新規発生を完全に防止し、既感染者においては発癌を防ぐことで「B型肝炎による肝癌ゼロ」を実現することである。そのためには適切なリスク評価と治療選択に加え、社会的啓発による持続感染者の拾い上げも欠かせない。B型肝炎は「制御可能な感染症」となりつつあり、科学的根拠に基づくグローバルな治療戦略の確立と普及こそが、肝癌撲滅への最短の道である。
詳細はこちらの公式WEBサイトをご参照ください。
https://www.tohoku-kyoritz.jp/kangan33/index.html
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