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HIV/AIDS 服薬コミュニケーションの重要性

はじめに

監修:広島大学 病院輸血部 輸血部 准教授 藤井 輝久先生

HIV感染症は慢性疾患の1つとして長期療養を行う時代となり、患者さんは治療を続けるなかで様々な変化を経験します。
このようななかで、患者さんのライフスタイルの変化や治療に求めるニーズの変化等に対応するために、定期的に通院していただけるよう医療者側から働きかけていくことは非常に重要です。

また医療者には、患者さんの変化に基づいて治療を再考することが求められ、それはアドヒアランスの維持、服薬の継続にもつながります。
診療時間が限られていても、メディカルスタッフと連携し、患者さんに記入していただくツールを使う等、患者さんとのコミュニケーションを工夫してみましょう。

本ページでは、患者さんに長期的に治療を継続していただくうえでコミュニケーションが重要である根拠としてカギとなるデータをご紹介します。

患者さんの約4分の1は医療スタッフに相談できていません

図1 医療スタッフに相談したいことが相談できなかった経験と相談できない理由(n=881)
(2013~2014年Futures Japan 調査結果)1

  • 医療スタッフに相談したいことが相談できなかった患者さんにその理由をたずねると、「医療スタッフの前では『良い患者』を演じてしまうから」が45.5%、「医療スタッフが忙しそうにしているから」が39.8%でした(図1)1
  • 患者さんは医療スタッフに気をつかって、本音を言えないでいるのかもしれません。
  • 患者さんは、偏見や差別、メンタルヘルス、セクシュアリティなど単に身体にとどまらない多面的な問題を抱えています。医療者が良好なコミュニケーションを意識し、相談しやすい雰囲気づくりをすることはHIV診療の第一歩です。

患者さんが医療スタッフに相談できなかったことはたくさんあります

図2 医療スタッフに相談したかった内容(n=244、複数回答可)
(2013~2014年Futures Japan 調査結果)2

医療スタッフに相談したかった内容として、「体調の変化や気になる症状・つらさ」、「気持ちの落ち込みや不眠」が多くあげられました(図2)2

2013~2014年Futures Japan調査(図1、2)

目的 HIV陽性者の健康保持・増進に関連する支援ニーズとして重点的な項目を明らかにする。
対象 日本国内在住のHIV陽性者1,095人。
方法 無記名自記式ウェブ調査(一部印刷媒体による調査も併用)(調査期間:2013年7月20日~2014年2月25日)

日常のライフスタイル、生活リズムも含めて、定期的に治療の状況を確認することが重要です

図3 成人HIV 感染症患者における服薬アドヒアランスの障壁(海外データ)3

目的 患者報告による服薬アドヒアランスの障壁を成人、青年、小児のHIV感染症患者において評価する。
対象 MEDLINE、Embase、Web of Science、PsychINFO で検索し抽出したアドヒアランス不良に関する研究125報(1997~ 2016年。38ヵ国で行われ、成人HIV感染症患者17,061 例を含む)
方法 システマティック・レビューによりAIDS Clinical Trials Groupのアドヒアランス尺度に基づいてカテゴライズされたアドヒアランス障壁を抽出し集計した。
  • ARTの服薬アドヒアランスに関する患者報告による研究を集めたメタ解析によると、成人HIV感染症患者では、服薬アドヒアランスの障壁として、「失念」に続いて、「移動」、「多忙」、「日常行動の変化」といったライフスタイル、生活リズムに関する要因が多く報告されていることがわかりました(図3)3
  • 患者さんが長く治療を続けるためには、患者さんのライフスタイル、生活リズムの変化も含めて、服薬状況や治療に関して困っていることを聞き出し、服薬にまつわる障壁を改善できるよう働きかけていくことが重要です。
  • うつ症状があると服薬アドヒアランスが低下することがわかっていますが、その理由として、うつ症状があるとライフスタイルの構造化が難しく、それによって服薬アドヒアランスの維持が困難になることが示唆されています4

1. HIV Futures Japan プロジェクト:グラフで見る「Futures Japan 調査結果」~HIV陽性者のためのウェブ調査 第1回~(2013年7月~2014年2月).
Futures Japan、2015. https://survey.futures-japan.jp/result/1st/(2022年3月30日閲覧)
2. HIV Futures Japan プロジェクト:医療者と患者のコミュニケーションガイド―HIV 診療場面でのヒント集―.
Futures Japan、2016.
3. Shubber Z, et al.: PLoS Med. 2016; 13(11): e1002183. https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/
4. Magidson JF, et al.: AIDS Behav. 2015; 19(1): 34.

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