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HIV/AIDS HIV/HBV共感染について

HIV/HBV共感染について

監修:大博通り内科・総合診療クリニック 院長 古庄 憲浩先生

HIV感染症患者の生涯にわたる健康維持を考えるうえで、併存疾患のマネジメントは重要です。 本ページでは、HBVとの共感染について疫学データとガイドラインをご紹介します。

疫学データとして、日本におけるHIV/HBV共感染について、特に、長期的に慢性肝炎のリスクが高いこと、海外のMSM集団でHIV感染者ではHBV共感染リスクが高いことを示すデータをご紹介します1-4。また、アジア地域ではHBV感染率が高い5という背景がありますので、臨床医としてこの共感染への留意が必要です。

エイズ専門医、肝臓専門医が、この共感染を確認せずに、HIVもしくはHBVのみに主眼をおいた治療を開始すると、いずれかの耐性変異を起こす可能性があります。したがって、ガイドラインでは、HIV/HBV共感染について注意喚起がなされています3,6 。また、過去のHBV治療で抗HIV薬に対する耐性変異を生じている可能性があり、新たにHIV感染症患者に治療開始する前に、過去のHBV治療歴の聴取、HBVマーカーの確認が必要です。

共感染に対してHIVとHBVの両者に抗ウイルス効果のある薬剤を用いることが原則です3,6。 抗HBV作用をもつ抗HIV薬の投与中止によって、HBVの再増殖が生じ肝機能障害をきたす可能性があることも注意が必要です。

先生方には改めて患者のHBV共感染の可能性に目を向けていただき、ガイドラインにしたがい初診時およびフォローアップ時のHBV感染のチェックと治療時の注意点にご留意いただきたいと思います。

日本におけるHIV/HBV共感染の疫学・特徴

2007年の全国調査ではHIV感染者のHBV感染合併率は6.3%、MSMのHIV感染者のHBV感染合併率は8.3%でした1

また、HIV共感染のHBVの遺伝子型は欧米に多いgenotype Aが75.3%であることが示されています2

MSMのHIV/HBV共感染者ではほぼgenotype Aである(98.5%)こと、日本のHBV単独感染ではgenotype Cが主体であることから、HIV/HBV共感染の原因はMSM集団における性交渉が大部分をしめることが示唆されます2

なお、genotype Aは、genotype Cと比較して、急性肝炎の肝障害の程度は軽いものの、HBs抗原の消失までの期間は長く、慢性化率はgenotype Cと比較して高くなります3,7

HIV/HBV共感染の高リスク集団とは?

HIV、HBV、C型肝炎ウイルス(HCV)の共感染リスクを検討した北米のコホート研究では、MSMは非MSMと比較して、HIV/HBV共感染リスクが6.8倍であることが示されています(下図)4

非MSMに対するMSMのHIV、HBV、HCVの感染および共感染のオッズ比(海外データ)4

目的 HIV、HBV、HCVの共感染のリスク因子を検討する。
対象 British Columbia Hepatitis Testers Cohortに登録(1992年~2013年)および地域の医療施設に記録のあるHIV、HBV、HCVの症例100,699例。
方法 性別、性的指向、年齢、居住地、注射によるドラッグ使用、問題飲酒、精神障害等のリスク因子ごとに多変数多項ロジスティック回帰モデルを用いてオッズ比(OR)を算出した。

HBV共感染に対する治療

HBV共感染に対しては、HBV、HIV双方に効果のある2剤を含む抗HIV治療が推奨されます3,6

HIV/HBV共感染患者に対するHIV治療の考え方3

〔推奨の強さ(A~C)、推奨のエビデンス(I~Ⅲ)についてはガイドラインの4頁参照3

治療薬
推奨 ●NRTIとしてTDF/FTC、TAF/FTCまたはTDF+3TCを使用(AⅠ)。
●HBVの薬剤耐性化を防ぐために、3TC、TDF、TAF、FTCを単一の抗HBV薬として使用しない。
代替 ●「TDFまたはTAF」の使用が好ましくない場合は、ETVを抗HBV薬として使用し、同時に十分なHIV抑制作用を持つ抗HIV治療を併用する(AⅡ)。
●3TC耐性のHBVを有する(または疑われる)患者では、ETVを0.5mg/日から1.0mg/日へ増量する。
●あるいは、十分なHIV抑制作用を持つ抗HIV治療とともに、「3TCまたはFTC」+ADVを行う。しかし、HIV/HBV共感染者において、この組み合わせには十分なデータがない(CⅡ)。
●HBVだけを治療する場合にはペグインターフェロンを検討する(CⅢ)。

TDF:テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩、 FTC:エムトリシタビン、 TAF:テノホビル アラフェナミド、 3TC:ラミブジン、 ETV:エンテカビル、 ADV:アデホビル
Guidelines for the Use of Antiretroviral Agents in HIV-1-Infected Adults and Adolescents. October 25, 2018を一部改変

1.Koike K, et al.: Hepatol Res 38: 310-4, 2008
2.Yanagimoto S, et al.: J Infect Chemother 18: 883-90, 2012
3.厚生労働行政推進調査事業費補助金エイズ対策政策研究事業 HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究班『抗HIV治療ガイドライン』2019年3月
4.McKee G, et al.: EClinicalMedicine 4-5: 99-108, 2018
5. World Health Organization: Global hepatitis report, 2017
6.日本エイズ学会 HIV感染症治療委員会:『HIV感染症「治療の手引き」』第23版、2019年11月発行、27頁
7. Suzuki Y, et al.: J Med Virol 76: 33-9, 2005

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