COVID-19ワクチン接種後の心筋炎様症状の報告
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種後に、急性心筋炎様の症状で入院を要した症例が報告された。患者は全て40歳未満の男性で、全員が加療により軽快し退院した。米イノバ心臓・血管研究所のCarolyn M. Rosner氏らが、「Circulation」に6月16日、レターとして報告した。著者らは、「ワクチンの有害事象の報告は依然として重要で、さらなる研究が必要」と述べている。
今回の報告は、米国バージニア州とテキサス州の2カ所の医療機関に、COVID-19ワクチン接種後に急性心筋炎様の症状を呈して入院した患者に関するもの。全員が40歳未満の男性であり、6人が白人、他の1人はヒスパニック系で、1人はCOVID-19既感染者だった。
接種されたワクチンは、6人がmRNAワクチン(ファイザー社製が5人、モデルナ社製が1人)で、他の1人はアデノウイルスを用いたワクチン(ジョンソン・エンド・ジョンソン社製)だった。
ワクチン接種から3~7日後に急性の胸痛を訴え、6人は心筋トロポニンI高値(ピーク時の平均15.77ng/mL、中央値12.01ng/mL)、他の1人は高感度トロポニンI高値(ピーク時7,000ng/L)を示し、いずれも心筋障害の発生が確認され、3人はST上昇も認められた。血行動態は全員安定しており、心膜摩擦音は聴取されなかった。
左室駆出率は35~61%の範囲で、5人には壁運動の低下が見られた。BNPは6人で測定されており、10pg/mL未満~97pg/mLの範囲だった。また、3人には冠動脈造影が施行されていたが、閉塞は認められなかった。
入院期間は3±1日であり、全ての患者は入院中に軽快していた。用いられた薬剤は多種にわたるが、ベータ遮断薬と抗炎症薬(コルヒチン、ステロイドなど)を含むレジメンが多かった。
著者らは、「COVID-19ワクチン関連の心筋炎様症状の臨床経過は良好であり、全患者が軽快していた」とまとめている。ただし、「若年者でもCOVID-19感染の潜在的なリスクがあり、ワクチンの副反応と比較しワクチン接種のメリットは圧倒的に高い」としつつ、「ワクチンの有害事象の報告は依然として極めて重要である」と注意を喚起。「副反応発生リスクを明らかにするとともに、予防法の確立に向けて、病態生理学的メカニズムの解明のため、さらなる研究が求められる」と述べている。
なお、数名の著者が診断薬・機器企業との金銭的関係の存在を明らかにしている。(HealthDay News 2021年6月21日)
Abstract/Full Text
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.121.055891
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