緊急事態宣言下で片頭痛患者の症状が改善
新型コロナウイルス感染症（COVID-19）パンデミック抑止のために厳格な外出禁止措置がとられたイタリアで、片頭痛患者の症状が改善していたというデータが報告された。ブレシア大学（イタリア）のFrancesca Schiano di Cola氏らの研究によるもので、詳細は「Pain Medicine」に6月26日掲載された。
生活環境の変化によるストレスが、片頭痛発作のトリガーの一つであることが知られている。パンデミックに伴う緊急事態宣言の発出は、人々の生活環境を大きく変化させたことから、片頭痛患者の症状に何らかの影響を与えた可能性が考えられる。Schiano di Cola氏らはこの点に着目し、以下の研究を行った。
イタリアで最も厳格な外出禁止措置の取られた地域の一つ、ブレシア地方にあるスペダリシビリ病院で、2019年9月～2020年1月に治療を受けた18歳以上の全ての片頭痛患者に電話連絡を取り、半構造化インタビューを実施。頭痛日誌をつけていなかった患者や連絡がつかなかった患者などを除外し、170人を解析対象とした。
頭痛日誌の記録を基に、パンデミック前の2019年10～11月と外出禁止期間中の2020年3～4月とで、片頭痛症状が変化したか否かを検討。その結果、80人（47.1％）が外出禁止期間中に症状が改善しており、50人（29.4％）は悪化、40人（23.5％）は不変だった。片頭痛発作のあった日数は、パンデミック以前が14.7±0.6日、外出禁止期間中が12.3±0.7日であり、後者が有意に少なかった（P＜0.001）。また、痛みの程度（NRSスコア）は同順に7.02±0.09、6.2±0.1（P＜0.001）であり、鎮痛薬使用量も外出禁止期間中の方が有意に少なかった。
年齢やBMIのほか、ベースライン時の症状などを調整した多変量ロジスティック回帰分析により、症状改善に関連する以下の因子が抽出された。屋外の生活空間の維持〔オッズ比（OR）2.3（95％信頼区間1.7～3.07）、P＝0.009〕、ベースライン時の診断が慢性片頭痛であること〔OR1.4（同1.1～2.02）、P＝0.002〕、および外出禁止措置に対する肯定的な個人的経験〔OR4.12（同2.3～7.1）、P＝0.03〕。
反対に、症状悪化に関連する因子として、独身〔OR1.5（同1.1～2.01）、P＝0.05〕と、外出禁止期間中の運動不足〔OR1.3（同1.1～1.6）、P＝0.02〕が抽出された。
著者らは、「外出禁止措置は片頭痛に対して全般的に保護的な影響を及ぼしていた。日々のストレスが軽減されたことが、症状改善の主な理由と考えられる」と述べている。（HealthDay News 2021年6月30日）
https://consumer.healthday.com/many-saw-improvements-in-migraine-during-quarantine-2653596771.html
Abstract/Full Text
https://academic.oup.com/painmedicine/advance-article/doi/10.1093/pm/pnab202/6310772
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