軽症COVID-19でも10人中4人が7~9カ月後に有症状
外来治療で軽快した軽症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者であっても、半年以上経過後に何らかの症状を有していることが少なくないという実態が報告された。ジュネーブ大学病院(スイス)のMayssam Nehme氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に7月6日掲載された。
Nehme氏らはこの研究に、スイスで用いられているCOVID-19外来患者追跡プログラム「CoviCare」を用いた。同国で最初のロックダウンが始まった2020年3月18日から5月15日までに同院を受診し、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)陽性と判定され、症状の出現した18歳以上のジュネーブ在住患者703人をCoviCareに登録。軽症者の後遺症の実態を把握するという研究目的のため、入院治療を要した患者は対象から除外し、629人を追跡対象とした。
対象者の平均年齢は42.1±13.5歳、女性60.9%、25.3%が医療従事者であり、70.7%は重症化リスクを有していなかった。COVID-19の診断から7~9カ月後まで電話などにより連絡をとり、症状の有無を確認した。7~9カ月後に追跡可能だったのは410人(65.2%)だった。
410人のうち39.0%が、7~9カ月後にも何らかの症状があると回答した。その症状の数は、27.6%は1症状のみ、26.4%は2症状、18.4%は3症状、10.9%は4症状、4.0%は5症状であり、6症状以上との回答も12.6%を占めた。最も多い症状は倦怠感であり21.0%、次いで味覚・嗅覚障害16.8%、呼吸困難11.6%、頭痛10.1%、咳嗽3.7%、消化器症状2.2%と続いた。
倦怠感を有していた85人のうち70.6%は、評価スケール(Eastern Cooperative Oncology Group Performance Status)のグレード0(活動の制限なし)、27.0%はグレード1(激しい活動には制限あり)であり、グレード2(歩行は可能)やグレード3(限られた身の回りのことのみ可能)も各1人存在した。呼吸困難に関しては、48人のうち29.2%が評価スケール(modified Medical Research Council)のグレード0(激しい活動で息切れ)、60.4%がグレード1(早歩きで息切れ)、8.3%がグレード2(歩行中に立ち止まることがある)であり、グレード3(数分の歩行で立ち止まる)も1人存在した。その他の症状については、大多数が軽症だった。
410人中311人は診断から30~45日後の追跡調査にも回答していた。このうち37%は30~45日後には症状が消失しており、19%は7~9カ月後に症状が消失していた。一方、27%は診断時を含む3時点の全てで症状を有していた。そのほか、10%は診断時に有症状で、30~45日後には症状が消失していたものの、7~9カ月後に再び有症状となっていた。また、2%は診断時に症状がなく、30~45日後と7~9カ月後に有症状であり、1人は診断時と30~45日後も無症状であったが7~9カ月後には症状を有していた。3時点全てで無症状だったのは4%だった。
著者らは、「軽症COVID-19患者でも、医師は長期にわたり症状をモニタリングする必要がある」と注意を促している。(HealthDay News 2021年7月12日)
Abstract/Full Text
https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M21-0878
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