COVID-19入院中に消化器症状を呈した患者の多くが半年後にも栄養不良
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者の消化器症状の予後の実態が報告された。入院中に約5人に1人は消化器症状を発症し、6カ月後でも体重が回復せず栄養不良に該当するケースも少なくないという。米ノースウェル・ヘルスのAnam Rizvi氏らが「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に6月30日、レターとして報告した。
この研究は、ノースウェル・ヘルス傘下の12の病院で2020年3月1日~2021年1月24日に入院治療を受けた18歳以上のCOVID-19患者、1万7,462人の医療データを用いた後方視的研究として行われた。入院時に3,229人(18.5%)に消化器症状を認め、そのうち715人(消化器症状を呈した患者の22.1%)は退院から3カ月後および6カ月後の外来受診が記録されていた。
外来フォローされた715人は、年齢が中央値66歳(四分位範囲55~76)、女性46.9%で、在院期間は中央値9日(同5~17)であり、14.1%は機械的換気を要していた。また、消化器系基礎疾患として、炎症性腸疾患が2.0%、過敏性腸症候群が1.0%存在した。
この715人の入院中に、計788の消化器症状が記録されていた。その内訳は、胃腸炎52.5%、消化管出血(吐血、下血、血便、または内視鏡検査による診断)20.4%、栄養不良(食欲不振や体重減少などにより栄養士が判定)23.0%であり、その他、膵炎が0.5%に見られた。
入院中に見られた胃腸炎のうち、3カ月後は90.5%、6カ月後には89.4%が消退していた。消化管出血については3カ月後、92.0%に所見を認めず、6カ月後のその割合は94.7%だった。また、COVID-19感染に伴う膵炎に関しては、3カ月後に全患者で所見を認めなかった。その一方で栄養不良は、3カ月後に50.6%、6カ月後にも32.4%に認められた。
解析対象全体の入院時の体重は中央値70.9kg(四分位範囲59.7~87.5)であり、3カ月後は-2.2kg(同-7.6~3.0)、6カ月後は-1.0kg(同-8.9~5.4)だった。これに対して栄養不良に該当する場合は、3カ月後-6.7kg(同-12.1~-3.6)、6カ月後-8.1kg(同-16.0~-2.9)であり、体重が低下したままだった。
著者らは、「COVID-19急性期から回復した後にも数カ月にわたって消化器症状が続くことがあり、中には追加の医療処置が必要なケースもあると考えられる」とし、「COVID-19から回復後に生じ得る栄養不良のスクリーニング法を確立する必要があるのではないか」と述べている。
なお、1人の著者が医療機器メーカーとの金銭的関係の存在を明らかにしている。(HealthDay News 2021年7月14日)
Abstract/Full Text
https://www.cghjournal.org/article/S1542-3565(21)00710-2/pdf
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