精神疾患の存在がCOVID-19に伴う死亡リスク上昇に関連
精神疾患を有する場合、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連死のリスクが高いことを示す研究結果が報告された。エクス-マルセイユ大学(フランス)のGuillaume Fond氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果であり、詳細は「JAMA Psychiatry」に7月27日掲載された。
Fond氏らは、MEDLINE、Web of Science、Google Scholarを用いて、2021年2月12日までに公開された研究論文を対象とするシステマティックレビューを実施。精神疾患を有するCOVID-19患者の臨床転帰(死亡率とICU入室データ)を報告している原著論文を検索した。言語や発行日に制限は設けなかった。
ヒットした1万8,201報からタイトルとアブストラクトによるスクリーニング、全文精査を経て、2019年12月~2020年7月に報告された7カ国(米国7件、韓国3件、フランス2件、英国、デンマーク、イスラエル、スペイン各1件)から計16件のコホート研究の結果が抽出された。合計患者数は1万9,086人で、いずれも出版バイアスは確認されず、ニューキャッスルオタワスケールによる評価で全て高品質と判定された。
メタ解析の結果、精神疾患のないCOVID-19患者に対して精神疾患を有するCOVID-19患者では有意な死亡リスク上昇が認められた〔粗オッズ比(OR)1.75(95%信頼区間1.40~2.19)、臨床的リスク因子を調整したオッズ比(aOR)1.38(同1.15~1.65)〕。解析対象を重度の精神疾患(統合失調症スペクトラム障害と双極性障害)を有する患者に絞り込むと、より高いオッズ比が観察された〔粗OR2.26(同1.18~4.31)、aOR1.67(同1.02~2.73)〕。
また本研究では、以下の条件で層別化したサブグループ解析が行われた。平均年齢65歳未満と以上、入院患者のみと入院+外来患者、ウイルス学的検査で診断されたCOVID-19と国際疾病分類10版(ICD-10)基準で定義されたCOVID-19、重度の精神疾患(前記)と非重度の精神疾患(気分障害、不安障害、人格障害、摂食障害、アルコールや薬物の使用障害)。結果は、死亡リスクの粗オッズ比、調整オッズ比のいずれについても有意差は認められなかった。
なお、ICU入室に関しては抽出された研究が4件であり、メタ解析を行うにはデータが不十分だった。
著者らは本研究の結果解釈に際し、メタ解析の対象となった報告は全てパンデミック第一波に行われた研究に限られていること、研究間で精神疾患の定義が異なり、不眠症や認知症を含むものや定義を示していないものもあることなどに留意が必要とし、さらなる研究の必要性を指摘している。その上で、「精神疾患を有するCOVID-19患者は重症化リスクの高い集団と位置付けられ、予防および疾患管理戦略の強化が求められる」と述べている。(HealthDay News 2021年7月28日)
Abstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/fullarticle/2782457
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