COVID-19感染8カ月後の記憶障害オッズ比が4.7
軽症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の多くが、感染8カ月後時点で記憶障害を訴え、その8割は健康状態の悪化が続いているとするデータが報告された。オスロ大学病院(ノルウェー)のArne Søraas氏らの研究によるもので、「JAMA Network Open」に7月29日、レターとして掲載された。
Søraas氏らは、2020年2月1日~4月15日にノルウェー国内の4カ所の大規模検査センターで重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)検査を受けた成人、および同国の一般住民対象コホート研究から無作為に抽出されたSARS-CoV-2検査を受けていない成人を対象とする、健康状態の追跡調査を実施した。なお、上記の期間、同国におけるSARS-CoV-2検査はほぼ全て、症候性の患者を対象に実施されていた。また、軽症COVID-19患者の予後を検討するという研究目的に基づき、入院治療を要した患者は解析から除外した。
ベースライン時点で計1万3,001人(SARS-CoV-2陽性者794人、陰性者7,978人、検査を受けていない住民コホートから4,229人)が健康状態に関する調査に回答し、その平均年齢は47±14.3歳、女性が66%だった。約8カ月(257±32日)後、75%に当たる9,705人(SARS-CoV-2陽性者651人、陰性者5,712人、住民コホートから3,342人)が追跡調査に回答した。
追跡調査で記憶障害を自己申告したのは、住民コホートでは80人(2%)であるのに対し、SARS-CoV-2陰性者は254人(4%)、陽性者では72人(11%)だった。多重ロジスティック回帰分析の結果、ベースライン時点でSARS-CoV-2陽性であることは、8カ月時点で記憶障害を有することと有意に関連していた〔住民コホートに比較してオッズ比(OR)4.66(95%信頼区間3.25~6.66)〕。
また、追跡調査時に1年前と比較して健康状態が悪化したと回答したのは、住民コホートでは394人(12%)であるのに対し、SARS-CoV-2陽性者では267人(41%)、陰性者では1,198人(21%)だった。さらに、SARS-CoV-2陽性で記憶障害を報告した人は、82%が健康状態が悪化したと回答した。
著者らは、「この結果は、COVID-19が軽症で済めばそれで良いとする考え方に再考を促すものだ。軽症患者に対して現在行われている在宅療養を主体とする治療戦略が、長期的予後にとって最適なものであるかどうかも疑問視される」と述べている。
なお、2人の著者が分子診断関連企業との金銭的関係を明らかにしている。(HealthDay News 2021年8月2日)
Abstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2782531
Editorial
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2782534
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