COVID-19に対するmRNAワクチンによるアレルギーのリスク因子
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン接種後のアレルギー反応やアナフィラキシーショックのリスク因子と、症状発現メカニズムに関する研究結果が報告された。米スタンフォード大学のChristopher Michael Warren氏らが、同大学関連医療機関の全臨床データが登録されているスタンフォード研究リポジトリを解析した結果であり、詳細は「JAMA Network Open」に9月17日掲載された。
2021年1月26日時点で同リポジトリに登録されている421万2,410人の生存患者データのうち、3万8,895人に2020年12月8日以降のCOVID-19ワクチン接種歴が記録されていた。ワクチンの種類はファイザー社製BNT162b2が3万1,635人、モデルナ社製mRNA-1273が7,260人であり、いずれもmRNAワクチン。7人はワクチンの種類が不明だった。
これらワクチン接種者のうち、22人(BNT162b2で17人、mRNA-1273で5人)にワクチン関連アレルギー反応と認められる症状が記録されていた。その22人の平均年齢は40.9±10.3歳で、20人(91%)が女性であり、15人(68%)には臨床的アレルギーの既往があった。その内訳は、10人(45%)が抗生物質に対するアレルギーであり、9人(41%)は食品に対するアレルギーであった〔果物3人(14%)、エビ2人(9%)、ピーナッツ1人(5%)、ブタ関連食品1人(5%)など〕。
ブライトン分類に基づいてアナフィラキシーと確定診断されたのは、17人(77%)だった。このうち3人(14%)に対してアドレナリンが投与されており、全員が完全に回復していた。
11人に対してプリックテストが行われていたが、ワクチンに添加されているポリエチレングリコール(PEG)やポリソルベート80(P80)に対して陽性反応を示した患者はいなかった。さらに10人に対して接種されていたワクチンを用いた検査が行われていたが、陽性は1人のみだった。
一方、同じ11人の血液検体を用いた好塩基球活性化試験(BAT)の結果は、10人(91%)でPEGに対する陽性反応が認められ、さらに11人全員が投与されていたワクチンに対して陽性と判定された。このほか、PEGに対するIgE抗体陽性者はいなかったが、ワクチンに対して陽性反応を示した患者はPEGに対するIgG抗体が陽性だった。
これらの結果から著者らは、「女性、特にアレルギーの既往歴のある女性は、mRNAワクチン接種時のアレルギー症状出現リスクが高いようだ。mRNAワクチンに対するアレルギー反応は、添加剤であるPEGに対する非IgE依存性反応によるものと考えられる」と結論付けている。
また、著者らはワクチン接種の安全性向上に向けて、「今回得られた知見が今後の体系的な調査によって確認された場合、患者のリスク層別化や現行ワクチンの安全性をより向上させる改良につながる可能性がある」と述べている。さらに、変異型ウイルスに備えたワクチンのブースターショットを視野に入れた、現在開発中の新たなmRNAワクチンの安全性向上にも役立つだろう」と付け加えている。
なお、数名の著者がバイオ医薬品企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしており、1名の著者は複数の関連特許を取得していることを明らかにしている。(HealthDay News 2021年9月20日)
Abstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2784268
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