新型コロナウイルス感染症（COVID-19）生存者の半数以上に6カ月後も後遺症が存在しているとする報告が、「JAMA Network Open」に10月13日掲載された。米ペンシルベニア州立医科大学のDestin Groff氏らが行ったシステマティックレビューの結果であり、最も一般的に見られる後遺症として、呼吸器症状、可動性機能の障害、およびメンタルヘルス不調などが挙げられるという。

　COVID-19の急性期を乗り越えた後にも「post-acute sequelae of COVID-19（PASC）」と呼ばれる種々の症状が残存することが明らかになり、既に多くの報告がある。Groff氏らの研究は、それらの報告を対象とするシステマティックレビューにより、PASCの発症率と症状・所見などを検討した。

　PubMed（MEDLINE）、Scopus、世界保健機関（WHO）が公開しているCOVID-19関連文献データベースなどを用いて、2019年12月～2021年3月に発表された論文を検索したところ、2,100件のPASC関連論文がヒットした。「システマティックレビューとメタ解析のための優先報告事項（PRISMA）」ガイドラインに準拠し、2人の研究者が独立してレビューを行い、適格基準を満たす57件の研究を抽出した。

　それらの研究には計25万351人のCOVID-19罹患後の生存者が登録されており、平均年齢は54.4±8.9歳で、56％が男性であり、79％は急性期に入院を要していた。また、57件の研究のうち45件（79％）は高所得国で実施されていた。解析に際しては、研究間での結果の不均一性が大きいためメタ解析は実施せず、PASC発症率の中央値と四分位範囲を算出するという記述的報告とした。

　少なくとも1症状以上のPASCが現れたCOVID-19生存者の割合を、急性期後の時間経過別に見ると、まず1カ月（短期）では中央値54.0％（四分位範囲45.0～69.0、研究数は13件）だった。続いて2～5カ月（中期）では同55.0％（34.8～65.5、38件）であり、6カ月以上（長期）経過後にも54.0％（31.0～67.0、9件）がPASCを有していた。

　世界銀行が公表している国民総所得分類で層別化すると、高所得国のPASCを有するCOVID-19生存者の割合は中央値54.6％（33.0～68.3、45件）であり、低中所得国では56.0％（43.5～67.0、12件）だった。また、登録患者に占める入院を要した患者の割合が60％以上であった研究と60％未満の研究とを比較した場合、PASC発症率に有意な差は見られなかった。

　PASCの症状・所見としては、胸部画像検査での異常所見が中央値62.2％（45.8～76.5）と多く、可動性機能の障害44.0％（23.4～62.6）、倦怠感・筋力低下37.5％（25.4～54.5）、全般性不安障害29.6％（14.0～44.0）、集中力の低下23.8％（20.4～25.9）などの頻度も高かった。それら以外にも、心臓や消化器、皮膚、耳鼻咽喉などの症状・所見も多く認められた。

　著者らは、「COVID-19罹患後に長期間持続するPASCは、各国の医療供給力を圧倒する規模で発生している可能性がある。特に低中所得国においてその影響が大きい」と述べている。

　なお、1人の著者が、製薬企業との利益相反（COI）に関する情報を明らかにしている。（HealthDay News 2021年10月19日）

https://consumer.healthday.com/more-than-half-of-covid-19-survivors-experience-long-term-symptoms-2655292514.html

Abstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2784918

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