SARS-CoV-2既感染者はワクチン効果が高い可能性
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)既感染者がワクチンを接種した場合、より高い有効性を得られる可能性を示唆するデータが報告された。コーネル大学(カタール)のLaith J. Abu-Raddad氏らの研究によるもので、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に11月1日、論文が掲載された。
この研究は、カタールで実施された症例対照研究。2020年12月21日~2021年9月19日に、ファイザー社製BNT162b2またはモデルナ社製mRNA-1273のいずれかの接種を受けた153万1,736人から対象者を抽出した。年齢、性別、国籍、ワクチン接種の時期などの背景因子を一致させた上で、ワクチン接種以前のPCR検査による重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染の有無により2群を設定。2回目のワクチン接種14日後から120日間追跡し、SARS-CoV-2の累積感染率を比較検討した。
感染既往の記録のない対象が圧倒的に多かったため、割り付けは比較的容易であり、かつ背景因子が正確にマッチした2群が設けられた。なお、ワクチン接種後のSARS-CoV-2感染は、鼻咽頭スワブで採取された検体を利用したPCR検査の結果が陽性の場合と定義し、PCR検査を行った理由や症状の有無は考慮しなかった。
BNT162b2ワクチンのコホートでは、ワクチン接種前のSARS-CoV-2感染の記録のない群が29万432人、感染の記録のある群が9万9,226人であり、両群ともに年齢中央値37歳、男性68%だった。2回目のワクチン接種14日後から120日目までにSARS-CoV-2感染が確認されたのは、ワクチン接種前の既往なし群は2,509件、既往あり群は159件だった。累積感染率は同順に0.83%(95%信頼区間0.79~0.87)、0.15%(同0.12~0.18)で、調整ハザード比(aHR)は0.18(同0.15~0.21)であり、有意な群間差が存在した。
mRNA-1273ワクチンのコホートでは、ワクチン接種前の既往なし群が16万9,514人、既往あり群が5万8,096人で、両群ともに年齢中央値36歳、男性73%だった。2回目のワクチン接種14日後から120日目までにSARS-CoV-2感染が確認されたのは、既往なし群は368件、既往あり群は43件だった。累積感染率は同順に0.35%(同0.32~0.40)、0.11%(同0.08~0.15)で、aHR0.35(同0.25~0.48)であり、有意な群間差が存在した。
ワクチン接種前の既往あり群を、ワクチン初回接種前のSARS-CoV-2感染のタイミングで層別化すると、感染からワクチン接種までの期間が長い方が、ワクチン接種後の感染リスクがより低かった。具体的には、初回ワクチン接種の6カ月以上前に感染していた群は、初回ワクチン接種前6カ月以内に感染していた群に比較し、BNT162b2コホートではaHR0.62(同0.42~0.92)、mRNA-1273コホートではaHR0.40(同0.18~0.91)だった。
これらの結果から著者らは、「SARS-CoV-2感染による自然免疫とワクチン接種による免疫のハイブリッドによって、ワクチン接種後のCOVID-19ブレークスルー感染リスクはより低下するようだ」と述べている。
なお、1人の著者が、ギリアド・サイエンシズ社から研究費の助成を受けていることを明らかにしている。(HealthDay News 2021年11月15日)
https://consumer.healthday.com/prior-sars-cov-2-infection-ups-protection-for-vaccinated-2655478518.htmlAbstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2785918
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