ワクチン接種後の経時的な有効性の低下――米CDC調査
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン接種後の有効性や抗体価の推移を、ワクチンの種類(ファイザー社製とモデルナ社製)別に比較検討した結果が、米疾病対策センター(CDC)発行「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」12月10日号に掲載された。いずれのワクチンも時間経過とともに有効性が低下し、抗体価にはワクチン間で有意差が生じることが明らかになった。CDCのCOVID-19専門チームに所属するKristina L. Bajema氏らによる研究。
この研究の対象は、2021年2月1日~9月30日の米国内5カ所の退役軍人医療センター入院患者のうち、発熱、咳嗽、味覚異常、呼吸困難、酸素飽和度94%未満(ルームエアー)、非侵襲的換気療法を要することなどによりCOVID-19が疑われた患者1,896人。ワクチンの接種状況(接種の有無や接種回数・時期など)が不明の患者や、1回目と2回目に異なるワクチンが接種されていた患者、3回目の接種を受けていた患者、ジョンソン・エンド・ジョンソン社製ワクチンの接種者は除外されている。
対象者の年齢は中央値67歳(四分位範囲59~75歳)、92.7%が男性、49.7%が黒人、8.5%がヒスパニックであり、ワクチン接種完了者(2回目の接種から14日以上経過していた患者)は42.1%だった。入院前14日以内または入院後72時間以内に実施された検査で、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染が確認された場合を「COVID-19による入院患者」と定義すると、755人(39.8%)が該当した。このうち、ワクチン接種完了者は21.3%だった。
年齢、性別、人種/民族、入院の時期、医療機関所在地で調整後に、2回目のワクチン接種後の経過日数別、ワクチンの種類別に、ワクチンの有効性を検討。以下の結果が明らかになった。
まず、ファイザー社製ワクチンの有効性は、2回目のワクチン接種後14~119日では86.0%(95%信頼区間77.6~91.3)、120日以上経過後は75.1%(同64.6~82.4)だった。モデルナ社製ワクチンは同順に、89.6%(同80.1~94.5)、86.1%(77.7~91.3)だった。
次に、スパイクタンパク質に対するIgG抗体レベルを検討。すると、ファイザー社製ワクチンでは、接種後14~119日は中央値187BAU/mL(四分位範囲50~493)であるのに対し、120日以上経過後は同62BAU/mL(25~141)と有意に低下していた(P=0.001)。モデルナ社製ワクチンでも同順に、759BAU/mL(348~2,086)、266BAU/mL(133~441)と有意に低下していた(P=0.002)。
続いて、スパイクタンパク質に対するIgG抗体レベルを、年齢(65歳未満/以上)、接種後の経過日数(120日未満/以上)で層別化し、接種ワクチンの種類で比較。すると、いずれのカテゴリーにおいても、ファイザー社製よりモデルナ社製ワクチンを接種されていた患者の抗体レベルの方が、有意に高いことが明らかになった。
著者らは、「ワクチン接種後の有効性と抗体レベルの推移を今後も継続的にモニタリングする必要がある。また、COVID-19に対する長期的な予防効果を維持するには、ワクチン追加接種が重要であることが示唆される」と述べている。
なお、数人の著者が医薬品関連企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2021年12月9日)
https://consumer.healthday.com/lower-vaccine-effectiveness-of-mrna-covid-19-vaccines-120-days-2655957965.html
Abstract/Full Text
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7049a2.htm
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