オミクロン株について分かったこと――米国の流行初期段階のレポート
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の新規変異株であるオミクロン株流行初期の状況が、米国から報告された。患者の8割をワクチン接種完了者が占めているという。米疾病対策センター(CDC)の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)専門チームのCria G. Perrine氏らによるレポートであり、CDC発行「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」12月17日号に掲載された。
オミクロン株は2021年11月24日に南アフリカから初めて報告された。世界保健機関(WHO)は11月26日に「懸念される変異株」に指定。これまでに、ワクチン接種やCOVID-19既感染による免疫を回避して感染する可能性が指摘されている。米国では11月28日から全国規模でサーベイランスが強化され、12月1日に同国内初の症例が報告された。
12月8日時点で22州から1人以上の感染症例の報告があり、計43人のデータが解析された。43人の年齢は18~39歳が58%、40~64歳が23%で、18歳未満と65歳以上がともに9%。性別は女性が58%。33%の患者は、症状発現または陽性判定の前14日以内に海外渡航歴があった。
オミクロン株感染患者43人のうち34人(79%)は、ワクチン接種完了者(2回接種タイプは2回目の接種から、1回接種タイプではその接種から、14日以上経過した人)が占めていた。さらに14人(33%)は追加接種(ブースター接種)も終了していた。なお、ブースター接種が終了していた14人中5人は、症状発現前14日以内の接種だった。その他、ワクチン未接種者が8人(19%)存在し、1人はワクチン接種歴不明であり、部分接種(2回接種が必要なワクチンを1回のみ接種した状態)は該当者なしだった。
また、43人中6人(14%)は、COVID-19の感染既往者が占めていた。一方、非既往者は21人(49%)であり、他の16人(37%)は感染の既往が不明だった。
症状に関しては37人の患者の情報を入手し得た。咳嗽が最も多く89%に認められた。その他、倦怠感65%、鼻閉/鼻漏59%、発熱38%、嘔気/嘔吐22%、呼吸困難16%、下痢11%、嗅覚・味覚障害8%などが記録されていた。また、ワクチン接種歴のある1人(2%)の患者に対し、2日間の入院治療が行われていた。死亡例は報告されていない。
感染経路としては、海外渡航、国内旅行、大規模イベントへの参加、および家庭内感染が特定された。
著者らは、「オミクロン株という新たな変異株が出現し、それが国境を越えて感染拡大を続けているという状況は、強固なサーベイランスシステムと世界規模での公衆衛生の推進、迅速な情報共有の重要性を強調するものだ」と述べている。(HealthDay News 2021年12月14日)
https://consumer.healthday.com/characteristics-of-omicron-sars-cov-2-variant-described-in-us-2656015625.html
Abstract/Full Text
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7050e1.htm
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