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COVID-19抗凝固療法へのP2Y12i抗血小板療法上乗せに有用性を認めず

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療用ヘパリンによる抗凝固療法に、P2Y12受容体阻害薬(P2Y12i)による抗血小板療法を加えても、転帰は改善しないことを示すデータが報告された。米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部のJeffrey S. Berger氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に1月18日掲載された。

 COVID-19罹患に伴う血栓塞栓症の発症抑制に抗凝固薬であるヘパリンが用いられているが、血栓塞栓症リスクを完全に抑えることはできていない。いくつかの研究から、COVID-19患者では血小板機能が亢進していることが示されており、ヘパリンに加えて抗血小板薬を投与することで、血栓塞栓症の残余リスクを押し下げられる可能性がある。この状況を背景としてBerger氏らは、非重症COVID-19入院患者の抗凝固療法にP2Y12iを追加することの有用性を検討した。

 この研究は2021年2~6月に、米国、イタリア、スペイン、ブラジルの60カ所の医療機関で実施された。研究登録対象は、COVID-19入院患者のうち、Dダイマー上昇または年齢60~84歳の非重症患者、および60歳未満で何らかの基礎疾患を有する非重症患者。無作為に2群に分け、1群には治療量ヘパリンを投与、他の1群には治療量ヘパリンに加えてP2Y12iを投与。患者割り付けは盲検化せず、14日間または退院までを無作為化期間とした上で、21日目までの臓器サポート不要期間などにより有効性を評価した。一方、安全性については、28日目までの大出血イベントを評価した。

 事前に設定されていた無益性の判定基準が確認された時点で患者登録を終了。それまでに562人(平均年齢52.7±13.5歳、女性41.5%)が登録され、通常治療群269人、P2Y12i追加群293人(チカグレロル63%、クロピドグレル37%)に割り付けられていた。全体の87%は、研究登録1日目に治療量ヘパリンの投与が開始されていた。

 臓器サポート不要期間の中央値は、通常治療群が21日(四分位範囲21~21)で、P2Y12i追加群も21日(同20~21)であり同等だった〔調整オッズ比(aOR)0.83(95%信頼区間0.55~1.25)、無益性の事後確率(aOR1.2未満)96%〕。大出血イベントは、通常治療群で2人(0.7%)、P2Y12i追加群で6人(2.0%)に発生し、有意差はなかった〔aOR3.31(同0.64~17.2)〕。また、生存退院者も通常治療群258人(95.9%)、P2Y12i追加群275人(93.9%)であり、有意差はなかった〔aOR0.75(同0.33~1.56)〕。

 本論文に対して、マーストリヒト大学(オランダ)のHugo ten Cate氏らが付随論評を寄せている。その中で同氏らは、「中等症COVID-19入院患者に対し、P2Y12iを追加投与しても転帰を改善しないようだ」と述べた上で、「今後はP2Y12i以外の抗血小板薬の有用性を検討する必要がある」としている。

 なお、数人の論文著者と付随論評の著者の1人が、バイオ医薬品業界との金銭的関係の存在を明らかにしている。(HealthDay News 2022年1月18日)



https://consumer.healthday.com/p2y12-inhibitors-don-t-improve-organ-support-free-days-in-covid-2656415658.html

Abstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2788141

Editorial
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2788159

Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock



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