SARS-CoV-2陽性判定後は種々の疾患・症状の発現が有意に増える
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の陽性判定後には、息切れなどの症状発現や2型糖尿病などの罹患が増加することが明らかになった。米疾病対策センター(CDC)のAlfonso C. Hernandez-Romieu氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に2月4日掲載された。
この研究では、米国内60件以上の医療システムの診療情報が記録されている「PCORnet」のデータが用いられた。2020年3~12月にPCR検査を受けた人の検査後31~150日間の受療記録を解析。PCR検査前には存在せず、検査後に発現した症状の頻度や疾患罹患率を、PCR検査陰性者と陽性者で比較した。
PCORnetデータのうち、40件の医療システムに記録されていたPCR検査受検者が解析対象とされ、そのサンプル数は20歳未満が33万8,024人、20歳以上は179万886人。PCR受検者に占める陽性判定者の割合は、20歳未満は7.9%(2万6,665人)、20歳以上は9.4%(16万8,701人)だった。
解析の結果、20歳以上のPCR検査陽性者では以下に示すように、息切れ、倦怠感、2型糖尿病、神経筋障害などの発現頻度が有意に高かった。
まず、息切れについては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患時に入院を必要としなかった既感染者でも、症状発現率が有意に高かった〔有病率比(PR)1.09(95%信頼区間1.05~1.13)〕。COVID-19罹患時に入院を要した既感染者ではPR1.89(同1.79~2.01)、入院時に機械的人工換気を要した既感染者ではPR1.69(同1.40~2.05)だった。
倦怠感は、COVID-19罹患時に入院を要した既感染者でPR1.35(1.27~1.44)、機械的人工換気を要した既感染者でPR1.98(1.68~2.34)。2型糖尿病は同順に、2.03(1.87~2.19)、2.25(1.82~2.77)であり、神経筋障害は2.11(1.69~2.65)、5.79(4.06~8.25)。これらのほか、COVID-19罹患時に機械的人工換気を要した既感染者では、体重減少PR1.39(1.13~1.69)、末梢神経障害2.05(1.55~2.70)、運動失調/歩行障害2.06(1.57~2.70)も有意に多く認められた。
また、20歳未満の既感染者も同様に、息切れ〔COVID-19罹患時に入院を要さなかった既感染者はPR1.26(1.11~1.44)、入院を要した既感染者は1.72(1.17~2.51)〕や、2型糖尿病〔入院を要した既感染者で2.14(1.13~4.06)〕の新規発症が有意に多く認められた。
著者らは、「これらの結果は、特にCOVID-19の急性期に入院を必要とした既感染者では、SARS-CoV-2陽性判定後から1カ月経過した以降に何らかの症状や疾患が発現するリスクが高く、既感染者本人および医療者はそれらの発現に留意する必要があることを示している」と述べている。(HealthDay News 2022年2月11日)
https://consumer.healthday.com/certain-diagnoses-up-for-patients-hospitalized-with-sars-cov-2-2656582520.html
Abstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2788641
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