イベルメクチンはCOVID-19重症化を抑止しない可能性
ラジャペルマイスリバイヌン病院(マレーシア)のSteven Chee Loon Lim氏らが同国内で行った多施設共同非盲検無作為化臨床試験の結果、イベルメクチンは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症化を抑止しない可能性が示された。詳細は「JAMA Internal Medicine」に2月18日掲載された。
駆虫薬のイベルメクチンは、COVID-19パンデミックの比較的早い段階にCOVID-19治療への転用が期待され、複数の臨床研究が実施されてきた。しかし、いまだ積極的な使用を支持するエビデンスは得られていない。一方で、イベルメクチンは低コストであるため、有効であると確認された場合、特に所得レベルの高くない国や地域でのCOVID-19の臨床へのインパクトは少なくない。この現状を背景としてLim氏らは、重症化リスク因子を有するCOVID-19患者に対するイベルメクチンの有用性を検討した。
この研究には、マレーシア国内の20件の公立病院とCOVID-19検疫センターが参加。2021年5月31日~10月25日にCOVID-19感染が確認された、何らかの基礎疾患を持つ50歳以上の患者490人(平均年齢62.5±8.7歳、女性54.5%)を登録。発症から1週間以内に1:1で2群に群分けし、全員に標準治療を行った上で、1群にのみイベルメクチン0.4mg/kgを投与した。一次エンドポイントは、SpO2を95%以上に維持するために酸素投与が必要な低酸素状態への進行とした。二次エンドポイントは、機械的人工換気、ICU入室、28日間の院内死亡率、および有害事象。
一次エンドポイントは、イベルメクチン群では241人中52人(21.6%)、対照群では249人中43人(17.3%)に発生し、群間差は非有意だった〔相対リスク(RR)1.25(95%信頼区間0.87~1.80)、P=0.25〕。二次エンドポイントについても以下に記すように、全て有意差がなかった。
機械的人工換気は同順に4人(1.7%)対10人(4.0%)でRR0.41(同0.13~1.30、P=0.17)、ICU入室は6人(2.4%)対8人(3.2%)でRR0.78(同0.27~2.20、P=0.79)、28日間の院内死亡率は3人(1.2%)対10人(4.0%)でRR0.31(同0.09~1.11、P=0.09)。有害事象は下痢が最も多く報告され、イベルメクチン群14人(5.8%)、対照群4人(1.6%)だった。
著者らは、「イベルメクチンがCOVID-19重症化リスクを抑制するというエビデンスは得られなかった。われわれの研究結果は、同薬が入院リスク低下に寄与しないことを示した、IVERCOR-COVID19研究の結果と一致している」と述べている。なお、IVERCOR-COVID19研究はアルゼンチンで行われた無作為化二重盲検プラセボ対照試験であり、イベルメクチンの有効性を入院や機械的人工換気を要する状態への進行、PCR陰性化などで検討。いずれもプラセボと有意差がなかった。(HealthDay News 2022年2月23日)
https://consumer.healthday.com/ivermectin-doesn-t-prevent-progression-to-severe-covid-19-2656752256.html
Abstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2789362
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