ACPが入院COVID-19患者へのレムデシビル使用のポイントを改訂
米国内科学会(ACP)のAmir Qaseem氏らによる、入院治療を要する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者へのレムデシビル使用のポイント(改訂版)が3月1日、ACP発行の「Annals of Internal Medicine」に掲載された。米ミネソタ大学のAnjum S. Kaka氏らが行ったシステマティックレビューの報告に基づくもので、前回の改訂(2021年8月)以降に蓄積されたエビデンスを反映したもの。
Kaka氏らは、2020年1月1日~2021年10月19日に公開された、COVID-19に対するレムデシビルの有用性に関する英語論文を検索。新たな報告として、1件の無作為化比較試験(RCT)と1件のサブトライアルが抽出された。双方ともに入院COVID-19患者にレムデシビルを10日間投与する介入の有用性を検討したもので、前者はエジプトから、後者は欧州からの報告。
前者は、酸素飽和度が平均88.5%であり、世界保健機関(WHO)等の基準で重症に該当する成人患者を対象とする研究。標準治療群に比較し、レムデシビルを上乗せした群で入院期間の有意な短縮(中央値16対10日、P<0.001)が認められたが、死亡率や機械的呼吸管理の必要性の発生には有意差がなかった。後者の研究対象も、臨床的低酸素状態にあるか酸素投与が行われている、病期が進展した成人患者。入院期間や死亡率、機械的呼吸管理を要した割合、重篤な有害事象などに有意差は見られなかった。
これら2件を含む、これまでに報告された入院COVID-19患者へのレムデシビル使用に関する研究を基に、今回の改訂版では、臨床における実践ポイントとして以下の3項目が掲げられている。
ポイント1は、「侵襲的換気療法または体外式膜型人工肺(ECMO)を要さない入院COVID-19患者に対しては、5日間のレムデシビル投与を検討する」。この根拠としては、新たに行われた文献レビューではレムデシビルを10日間投与した研究のみが抽出され、5日間投与の有用性に関するさらなる知見は得られなかったものの、以前に報告された複数の研究から、5日間投与は10日間投与と同程度に有効である可能性が示されているためと述べられている。
ポイント2は、「5日間のレムデシビル投与中に、侵襲的換気療法またはECMOの必要性が生じたCOVID-19患者に対しては、レムデシビルの投与を10日間に延長することを検討する」。この根拠は、従来から存在したエビデンスと今回新たに加えられた研究報告を統合すると、レムデシビル10日間の投与により、死亡率への影響はないものの、入院期間の短縮などの点で若干の有用性が認められるためと述べられている。
ポイント3は、「既に侵襲的換気療法、またはECMOを施行している入院COVID-19患者に対し、新たにレムデシビルを投与しない」。この根拠は、この項目に関する新たな知見は今回のレビューでは得られなかったため、従来から変更しないと述べられている。(HealthDay News 2022年3月1日)
https://consumer.healthday.com/final-practice-points-presented-for-remdesivir-use-in-covid-19-2656800150.html
Living Review
https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M21-4784
Practice Points
https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M21-4810
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