新型コロナ感染で妊娠合併症が増加
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種を受けるべきか否か迷っている妊娠中の女性がいたとしたら、その判断に影響を及ぼすであろう、新たな研究結果が報告された。妊婦がCOVID-19に感染した場合、早産や静脈血栓症などの妊娠合併症のリスクが2~3倍高くなるという。米カイザー・パーマネンテ女性と子どもの医学研究部門のAssiamira Ferrara氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Internal Medicine」に3月21日掲載された。
論文の筆頭著者であるFerrara氏によると、「われわれの研究結果も含め、妊娠中にCOVID-19に感染すると、重篤な合併症のリスクが高まるという報告が増えてきている」という。他方、「妊娠中のCOVID-19ワクチン接種の安全性に関してはエビデンスがある」として、「周産期の合併症のリスクとワクチン接種の必要性を比較検討するための情報が充実してきた」と述べている。
Ferrara氏らは、2020年3月1日~2021年3月16日に、カイザー・パーマネンテ北カリフォルニアで行われた周産期医療のデータベースを用いて、妊娠中のCOVID-19感染の影響を解析した。PCR検査が実施されていなかった妊婦を除く4万3,886人(平均年齢30.7±5.2歳)のうち、1,332人(3.0%)がPCR検査で陽性と判定されていた。
PCR検査陽性の記録がある妊婦は陰性の妊婦に比べて、若年で(28.8±5.5対30.8±5.2歳)、肥満(37.8対27.4%)や高血圧(22.6対19.5%)、ヒスパニック系(52.4対27.6%)の割合が高いといった差が見られた。また、居住環境が恵まれていない女性が多かった(地理的剥奪指標の最高四分位群の割合が40.2対24.2%)。なお、妊娠前から存在していた糖尿病の割合は同等だった(両群ともに1.4%)。
年齢やBMI、人種/民族、地理的剥奪指標、併存疾患、喫煙習慣を調整後、PCR検査陽性の記録のある妊婦は陰性の妊婦に比較し、重症の妊娠合併症(急性心筋梗塞、急性腎不全、敗血症など)の有意なリスク上昇が確認された〔ハザード比(HR)2.45(95%信頼区間1.91~3.13)〕。また、静脈血栓塞栓症のリスク差は3倍を超えていた〔HR3.08(同1.09~8.74)〕。
早産に関しても、陽性の記録がある妊婦で有意なリスク上昇が認められた。具体的には、37週未満の全ての早産についてはHR2.08(同1.75~2.47)、自然早産についてはHR1.61(1.22~2.13)、治療的早産についてはHR2.56(2.06~3.19)であり、在胎週数別では、22~31週がHR2.52(1.49~4.24)、32~33週はHR2.18(1.25~3.80)、34~36週はHR1.95(1.61~2.37)だった。
なお、陽性の記録がある妊婦のうち、76人(5.7%)が入院治療を要していた。入院を要するリスクには、妊娠前から存在していた糖尿病〔HR7.03(2.22~22.2)〕と、人種/民族〔アジア太平洋諸島系民族HR2.33(1.06~5.11)、黒人HR3.14(1.24~7.93)〕が関連していた。
論文の上席著者であり、カイザー・パーマネンテの周産期医療のスペシャリストであるMara Greenberg氏は、「規模が大きく、多様な集団を対象に含めたわれわれの研究結果は、妊娠中または妊娠を計画している女性のワクチン接種の必要性を裏付けるものだ」と結論付けている。その上で、「妊婦や妊娠前の女性が自分自身、そして生まれてくる子どもを守るためにできる最も重要なことは、ワクチン接種を受けることである」と付け加えている。(HealthDay News 2022年3月28日)
https://consumer.healthday.com/b-2657000680.html
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2790318
Press Release
https://about.kaiserpermanente.org/our-story/health-research/news/coronavirus-may-double-severe-complications-in-pregnancy
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