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デシコビ配合錠 作用機序

デシコビ配合錠は、核酸系逆転写酵素阻害薬であるエムトリシタビン及びテノホビル アラフェナミドフマル酸塩の2成分を含有する配合錠です。
各薬剤の作用機序を以下に示します。

エムトリシタビン

エムトリシタビンは、シチジンの合成ヌクレオシド誘導体であり、細胞内酵素によりリン酸化されエムトリシタビン5’-三リン酸となります(1)。エムトリシタビン5’-三リン酸はHIV-1逆転写酵素の基質であるデオキシシチジン5’-三リン酸と競合すること及び新生ウイルスDNAに取り込まれた後にDNA鎖伸長を停止させることにより、HIV-1逆転写酵素の活性を阻害します(2)。エムトリシタビン5’-三リン酸のHIV-1逆転写酵素に対する阻害定数(Ki値)は0.17μMであるのに対し、ヒトのDNAポリメラーゼα、β、ε及びミトコンドリアDNAポリメラーゼγに対するKi値は、それぞれ6.0μM、17.0μM、150μM及び6.0μMとなり、これらに対するエムトリシタビン5’-三リン酸の阻害作用は弱いことが示されています(3)

テノホビル アラフェナミド

テノホビル アラフェナミドは、テノホビルのホスホンアミド酸プロドラッグ(2’-デオキシアデノシン一リン酸誘導体)です。テノホビル アラフェナミドは、血漿中の安定性が高く、細胞内透過性を有し、末梢血単核細胞及びマクロファージ中のカテプシンAにより加水分解を受けて細胞内にテノホビルを送達します。その後、細胞内酵素によりリン酸化を受け、テノホビル二リン酸となります(4)。テノホビル二リン酸は、HIV-1逆転写酵素の基質であるデオキシアデノシン5’-三リン酸と競合すること及びDNAに取り込まれた後にDNA鎖伸長を停止させることにより、HIV-1逆転写酵素の活性を阻害します。テノホビル二リン酸のHIV-1逆転写酵素に対するKi値は0.21μMであるのに対し、ヒトのDNAポリメラーゼα、β及びミトコンドリアDNAポリメラーゼγに対するKi値は、それぞれ5.2μM、81.7μM及び59.5μMとなり、これらに対するテノホビル二リン酸の阻害作用は弱いことが示されています(5)

デシコビとは テノホビル アラフェナミド
  1. Paff M.T. et al. : Antimicrob Agents Chemother. 38(6):1230-1238, 1994.
  2. Feng J.Y. et al. : FASEB J. 13(12) : 1511-1517, 1999.
  3. George R.P. et al.:Drugs of the Future. 20(8):761-765, 1995.
  4. Robbins B.L. et al. : Antimicrob Agents Chemother. 42(3):612-617, 1998.
    著者にギリアド・サイエンシズ株式会社の従業員を含む
  5. Cihlar T. et al. : Antivir Chem Chemother. 8(3):87-195, 1997.
    著者全員がギリアド・サイエンシズ株式会社の従業員

TAFの代謝メカニズム(1)-(3)

TAFの代謝メカニズム

TAFは、テノホビル(TFV)の新規プロドラッグです。 TAFは、経口吸収後、効率的にHIV標的細胞(CD4リンパ球など)内に移行します。細胞内では主にカテプシンAにより加水分解を受け、中間代謝産物であるTFV-アラニンを経た後、TFVに代謝されます。その後、細胞内酵素によりリン酸化を受け、抗HIV活性のあるTFV二リン酸に変換されます。 TAFは血漿中で安定であり、既存のTFVのプロドラッグであるTDFと比較して、1/10程度の投与量で同様の抗ウイルス活性を示し、TFVの血漿中濃度も低く抑えることが可能となりました(2),(3)

血漿中TFV濃度及び細胞内のTFVニリン酸曝露量(外国人データ)(1)

血漿中TFV濃度及び細胞内のTFVニリン酸曝露量(外国人データ)

TAF投与時の血漿中TFV曝露量(AUC)は、TDF投与時と比べ約90%低く、細胞(PBMC)内のTFV二リン酸(TFVーDP)曝露量はTDF投与時と比べて約4倍高くなります。 このことから、TAFはTDFの1/10程度の投与量でTDFと同程度の抗ウイルス活性と、TDFで懸念される腎臓や骨に対する影響の低減が考えられます。

  1. Sax P.E. et al. : Lancet 385(9987):2606-2615, 2015.
  2. Ruane P.J. et al. : J Acquir Immune Defic Syndr. 63(4):449-455, 2013.
  3. Gilead社:社内資料 292-0101試験

※PBMC:peripheral blood mononuclear cells(末梢血単核細胞)

デシコビ配合錠におけるTAFの用量について

TAF単剤の抗ウイルス効果を検討した第Ⅰ相臨床試験(120-0104試験)において、TAFの至適用量は25mgと設定されました。また、TAF 25mgをエルビテグラビル(EVG;E)150mg、コビシスタット(COBI;C)150mg及びエムトリシタビン(FTC;F)200mgと配合した製剤(E/C/F/TAF 150/150/200/25mg)を用いたゲンボイヤ配合錠の第Ⅰ相臨床試験(292-0101試験)(3)を実施したところ、TAFの曝露量は、TAF 25mg単剤投与時と比較して約2.5倍高いことが示されました。
TAFは腸管等に発現している薬剤排出トランスポーターのP糖蛋白質(P-glycoprotein;P-gp)の基質であることから、P-gp阻害作用を有するCOBIとの併用投与によりTAFの曝露量が上昇したと考えられました。

この結果を受けて、TAFの含有量を10mgに変更した製剤(E/C/F/TAF 150/150/200/10mg:ゲンボイヤ配合錠)を用いた第Ⅰ相臨床試験(292-0103試験)を実施したところ、TAFのAUClast及びCmaxはFTC 200mgとTAF 25mgを併用した時と同程度でした。なお、リトナビル(RTV)についても同様にP-gp阻害作用を有することが確認されています。

剤型の違いによるTAFの薬物動態の変化(292-0103試験)(外国人データ)

剤型の違いによるTAFの薬物動態の変化(292-0103試験)(外国人データ)

これらの試験結果から、RTV又はCOBIと併用する場合のTAFの至適用量は10mg(TAFフマル酸塩として11.2mg)、RTV又はCOBIと併用しない場合のTAFの至適用量は25mg(TAFフマル酸塩として28mg)と設定されました。

TAF投与時の腎尿細管細胞への影響(1)-(3)

TAF投与時の腎尿細管細胞への影響

TDFの大部分が血漿中でTFVに代謝されるのに対し、TAFはその大部分がHIV標的細胞内でTFVに代謝されるため、より効率的にウイルス標的細胞内にTFVを送達させることができます。そのためTDF投与後と比較して、TAF投与後の血漿中TFV濃度は低く、OAT1/3を介した腎尿細管細胞へのTFVの取り込み量が低下します。(2),(4)-(7) また、TAF自体はOAT1/3の基質ではないため、OAT1/3を介した腎尿細管細胞内への取り込みは起こりません(8)

  1. Sax P.E. et al. : Lancet 385(9987):2606-2615, 2015.
  2. Ruane P.J. et al. : J Acquir Immune Defic Syndr. 63(4):449-455, 2013.
  3. Gilead社:社内資料 292-0101試験
  4. Birkus G. et al. : Mol Pharmacol. 74(1):92-100, 2008.
  5. Lee W.A. et al. : Antimicrob Agents Chemother. 49 : 1898-1906, 2005.
  6. Ray A.S. et al. : Antimicrob Agents Chemother. 50 : 3297-3304, 2006.
  7. Ruane P.J. et al. : J Acquir Immune Defic Syndr. 63(4):449-455, 2013.
  8. Bam R.A. et al. : Antivir Ther. 19 : 687-692, 2014.

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