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HIV耐性変異とビクタルビ配合錠

ART(anti-retroviral therapy)の歴史と耐性変異を考慮する重要性

監修:国立研究開発法人 国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター 潟永 博之先生

HIVは急速に増殖するだけでなく、逆転写酵素によるRNAからDNAへの逆転写の精度が低いことから、様々な変異が高頻度に出現するといわれています。

1990年代より、3剤併用を中心とするHAART(highly active anti-retroviral therapy)が確立し普及したことにより、HIV感染症による死亡率は大幅に改善しました(図1)。

HAARTの確立と普及に至るARTの開発は、薬剤耐性変異発現とのたたかいの歴史であったといっても過言ではないでしょう。
今回、HIVの耐性変異の重要性について解説するとともに、ビクテグラビル(BIC)/エムトリシタビン(FTC)/テノホビル アラフェナミド(TAF)の耐性バリアについてデータをご紹介します。

図1 HAARTの普及とHIV感染者の生存率
目的 HAART(highly active anti-retroviral therapy)によるHIV感染症患者の生存率と死因を調査する。
対象 米国の12の医療機関で受診したHIV感染症患者6,945名を1996年から2004年まで追跡した。
方法 死亡、日和見感染症、非AIDS関連疾患の発生を記録した。

Palella FJ, et al.: J Acquir Immune Defic Syndr 2006; 43: 27.

治療成功のために

「治療失敗の原因」となる主な要因として下記が考えられます。 原因に基づいた治療や対応が必要とされます。

薬剤耐性の発現

薬剤耐性ウイルスの感染は治療失敗の原因となります。

  • 近年、日本における薬剤耐性ウイルスによる耐性変異の伝播頻度は8~10%で推移しており、最も伝播頻度が高いのは NRTI(核酸系逆転写酵素阻害剤)耐性変異です(図2)。
図2 日本における伝播性薬剤耐性変異の頻度

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)エイズ対策実用化研究事業
「国内流行HIV及びその薬剤耐性株の長期的動向把握に関する研究」(研究代表者:菊地 正)の報告に基づく。
国立感染症研究所 https://www.niid.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2434-iasr/related-articles/related-articles-463/8321-463r03.html

アドヒアランス不良は、治療期間中の耐性発現を誘導し、治療失敗の原因となります。

  • アドヒアランスの軽度低下により、薬剤血中濃度が治療目標域以下となり、野生型ウイルスの増殖が制限された状態が続くと、薬剤耐性が誘導されます。
  • アドヒアランスが高度に低下し、薬剤の血中濃度が非常に低くなった状態では、野生型ウイルスは通常の増殖を続けるため耐性ウイルスは出現しません。

血中濃度の低下

薬剤の血中濃度が治療目標域に達しないとウイルス増殖に対する抑制効果が不十分となり、治療失敗の原因となります。

  • 血中濃度が低下する原因には、アドヒアランス不良、併用薬剤との相互作用、抗HIV薬の代謝に関連する遺伝的要因などがあります。

厚生労働行政推進調査事業費補助金エイズ対策政策研究事業
HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究班『抗HIV治療ガイドライン』2019年3月

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ビクタルビ配合錠